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万年筆は縁である。

060124
 昨年の暮れから本妻の姿が見えない。

 外出の時にどこかへ行ってしまったのか、どこかに隠れているのか、仕方がないのでこの間は二号さんで我慢することにする。
 といっても、これは万年筆の話である。

 我が家には計5本の万年筆がある。その中で特に書きやすい3本を、向田邦子さんの例にならって「本妻・二号・三号」と呼んでいる。
 紙にくっきりとインクが乗ることを好む私は昔から万年筆好きである。
 バイブルサイズの手帳にびっしり書き込むため、ペン先は細字のFFまたはFである。
 昔はもっと小さい字でびっしり書いていたのでロットリングなどのテクニカルペン、それも0.1mmなどを使っていた時期もある。
 しかし、ロットリングはあくまでも製図の線を引くための道具であるため、文字を書くには適していない。
 調子の良いときはいいのだが、しょっちゅう目詰まりを起こしていた。
 万年筆のペン先に種類があることを知ったのはその後である。

 モンブランは買い換えて現在は3本目である。
 No146 , 142 , 146 と、前の2本は無くしてしまって、現存するのは最後の1本のみだが、実はこれは本妻でも二号でも三号でもない。
 実はモンブランは書きやすかった経験はない。
 では、なぜ3本も買ったのかというと、万年筆と言えばモンブランという固定観念に加えて世間並みの評価を真に受けただけだ。
 (野球といえば巨人、ジーンズといえばリーバイス等々、世の中には実に様々な固定観念が存在する。)
 しかも万年筆には同じメーカでも当たりハズレがあると聞いたので、書きにくいのは自分にとってたまたまハズレを引いてしまったのだろうと買い換えてみたわけである。
 さすがに3本続けてハズレを引き続けたわけだから、さすがにもう諦めた。
 もっとも、左利きが左手で文字を書くという時点で世間の評価など当てにはできなかったわけだが。

 万年筆というものは縁である。そして良いペン先に当たることは希である。
 今、本妻(現在行方不明)二号、三号は無印良品のアルミ丸軸万年筆である。
 値段も1本1115円と手頃でスッキリしたデザインと金属製の質感が気に入って3本購入した。
 これくらいの値段なら気軽に買ってペン先の当たりはずれを確かめられる。
 そのうちの1本が特に当たりで、これを本妻にした。

 メーカーのインクカートリッジは使わず、コンバーターを介してペリカンのインクを4色を使っている。
 ターコイズとバイオレッドとブラウンとレッドの4色である。
 万年質インクの混合は目詰まりの元になるので厳禁だが、ペリカンのものならば混ぜても平気なので、ブレンドしてオリジナルの色を作って楽しんでいる。
 3本有るので、それぞれに別な色を入れて、その時の気分によって使い分けている。

 モンブラン以外にもパーカー、ペリカン、シーファ等々色々使ってみたが結局は手軽で安価な無印良品に落ち着いた。
 生来の悪筆+左利きなので、万年筆もお安く手軽に使える方が合うのだろう。
 でも最近ではキーボードで文章を書くことが圧倒的に増えて、手紙ぐらいしか活躍のないのがちょっと寂しい気がする。

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