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編集機能、中国へ 日本の雑誌で動き盛ん 人件費安く日本語堪能

編集機能、中国へ 日本の雑誌で動き盛ん 人件費安く日本語堪能

上海=前田徹】日本の雑誌出版の編集機能を人件費の安い中国で肩代わりさせる動きが加速している。日本語に堪能なことが必須のため日本留学帰りの多い上海が中心となっているが、最近は北京や大連、広州などにも編集拠点が広がっており、それだけ日本語が使える知的労働者が中国で増えていることの裏返しでもある。昨年の反日暴動後も日本企業の中国進出は増え続け、中国の民衆サイドではむしろ日本傾斜を深めている。

こうした日本の雑誌の編集拠点の草分け的存在となったのが、上海市にある「上海初心商務諮詢有限公司」(張波社長)だ。コンピューター雑誌を主に出版する東京の中堅出版社が機材や資金の大半を提供して2002年5月に設立した。この中堅出版社は当初、簡単なレイアウトだけを中国側に依頼していたが、いまでは全体のレイアウトをする責任者とライター(記者)、営業員をのぞいてすべての編集とデザインは中国側で行われている。

張社長によると、「日本人編集者1人を解雇すれば、こちらで8人雇える」という徹底したコストダウンがこうした日中合作の雑誌作りを生み出した。張社長は東京の印刷会社に勤めたことがあり、DTP(コンピューター机上出版)技術さえあれば中国の若い編集者でも十分こなせる自信があったようだ。

つまりDTPの発達で雑誌編集もグローバル化が避けられなくなったともいえるが、もう一つ重要なのは日本語を扱える人材が上海に多かったことだ。張社長自身、日本留学帰りだが、日本側編集責任者と電話で打ち合わせし、レイアウト作成と校正を中国側スタッフに指示する責任者も日本留学帰りだ。

張社長は日中合作の雑誌作りの将来性に目をつけ、この合弁会社とは別に自らの出版印刷会社を始め、いまでは日本の老舗出版社の有名月刊誌の編集をも手がけるほどになっている。また、日本の地下鉄駅などで配布されるフリーペーパーなども手がけているそうだ。

こうした成功に日本の大手、中堅の出版社が同様の中国の代理編集会社設立を目指しており、すでに上海では3社、上海郊外にもかなり大がかりな日本の雑誌専門の会社が生まれた。張社長によると、このほか北京、大連、広州にも同じような会社ができたという。

ブロードバンドの普及。

スカイプなどによる通話やビデオ会議コミュニケーションの無料化。

OSやFontなどの標準での国際化。

OTFフォントによるプラットフォームを選ばないDTP環境。

PDFによる出力ファイルの緩化。

貨幣価値の国際的地域格差。

などを考えるとこのような傾向はさらに進んでゆくことだろう。

すでに、産業の面では安い人件費を目当てに中国に軸足を置く企業はめずらしくない。

いままではブルーカーラーの業種だったものが、日本語堪能な代表者がいれば現地のスタッフを使いこなしながらホワイトカラーの業種も行うことも可能なのだろう。

実際、DTP作業などは精神的肉体労働と言っていいほど、作業内容は地味なものである。

なので、作業環境を整えて、少しソフトの使い方を覚えれば、根性さえあれば大概の人は出来てしまう。

ちょっと前まではその環境を整えるまでが大変だったのだが、環境の低価格化と共にアマチュアでも比較的手軽に環境は揃う。 それに加えて言いたくはないが、中国といえば不正コピーの温床である。

環境構築のコストも限りなく0に近いのだろう。

私自身は数年前から徐々に受ける仕事をDTPから他の付加価値の付くものへとスイッチしてきた。

おなじDTPでもデザイン作業ならばセンスの問題なので単純DTP労働者には無理な事だろう。

もちろんデザインだけでお金を取れるほど世の中は甘くないので、デザインの優位性という付加価値でトータルなDTPの仕事が回ってくる感じか。

でもなるべくデータベースやWeb関連の仕事を積極的に受けている。

安い労働力と戦うためにさらにスキルを磨いてゆく以外にはないと思う。

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