あらすじ
西暦2015年、品種改良による麦から発生したウィルスにより、人類の98%が死滅。人類は科学者トレバーの開発したワクチンにより、かろうじて滅亡の危機を回避できた。以降、人類は汚染された外界を壁で隔てた都市ブレーニャで、救世主の子孫トレバー8世を君主に、トレバーの弟と科学者達から成り立つ政府に厳しく律されながら暮らしていた。一方、主人公イーオン・フラックスは反政府組織“モニカン”に属する優秀な戦士であった。ある日、イーオンの妊娠中の妹ユナがモニカンの一員である事を理由に殺されてしまう。政府に対する激しい憎悪をもったイーオンに、いよいよ君主暗殺の指令が下る…。
アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞のシャーリーズ・セロンが挑む、究極の近未来SFアクション超大作ついに登場!監督
カリン・クサマ出演
シャーリーズ・セロン
マートン・ソーカス
ジョニー・リー・ミラー(作品資料より)
ストーリー的にはそれほど斬新なところはなかったのだが、いくつか観るべきところがあったので記しておく。
まず、映像がとても美しく、舞台装置も一つ一つ洗練されていて、ため息が出るほどである。
服飾関係は誰のデザインだろう?
中には現代に普通に着ても奇抜に見えずにかっこいいと思える物もある。
「フィフスエレメント」も服飾に気を遣っていて、ゴルチエのデザインだったが、逆にそれが鼻につくアクに似た嫌みさがあった。
しかし、こちらは作品に自然にとけ込んで、趣味の良い主張をしていた。
舞台美術の洗練さがアメリカっぽくなかったので一瞬、フランス映画かと錯覚したくらいで、一部ジャポニズムっぽい箇所も見受けられた。
アメリカ風とかヨーロッパ風などの区別はあくまでも感覚的な物なので、説明は難しい。
一つ一つを分析的に捉えてみれば説明は可能だと思う。
たとえば「マイノリティレポート」や「スターウォーズ」「スタートレック」のたぐいは極めてアメリカ的である。
この作品に描かれる時代では装置一部にはナノ単位で作られ、ある物は目に見えないほどの物だったり、またDNA操作である物は植物に同化していたり、主人公の身体に装置が施されていたりと、今のテクノロジーとは次元の違いを見せる。
そのため、私のようなメカニカルなギミック好きにはちょっと物足りないか、ナノ単位なら何でもありじゃんと思える箇所もある。
主演のシャーリーズ・セロン
シャーリーズ・セロン
フランス系の父とドイツ系の母の間に生まれる。南アフリカ郊外の農場で育ち、モデルとしてキャリアを積んで、ジェフリー・バレエ・スクールなどで12年間、クラシック・バレエを学び、ダンサーになることを夢見ていたが、膝の故障のために断念。ミラノやパリでトップモデルとして活躍した後、アメリカで女優を目指す。長編映画デビュー作は「トゥー・デイズ」でジェームズ・スペイダーの恋人役。美しいプロポーションもさることながら、役柄に合わせた演技力がある。
「ディアボロス」では、精神状態に次第に崩壊していくキアヌ・リーブスの妻役で衝撃的な演技を見せたかと思えば、「マイティ・ジョー」では、命がけで大ゴリラ・ジョーを守るヒロイン・ジルのような明るく元気な女性を演じている。
2003年「モンスター」でアカデミー主演女優賞受賞。
「モンスター」は観たが、ちょっと後味の悪い映画だった。
しかし、まさか、こんな綺麗な人があの役をやっていたのかと後で知ってびっくりした憶えがある。
モデル出身にありがちな大根ではなく、演技力のある良い女優さんだと思う。
今回は持ち前のスタイルの良さに加えてマトリックス並みの超人的なアクションも見せてくれる。
作品自体はマトリックスのような圧倒的な衝撃を受けることはなかったが、シーンの一つ一つにデザインの参考になる可能性があったのでライブラリとして保管するには良い映画だろう。