7年前に購入して5年くらい使っていたイヤホンB&O A8が断線したままだったので、修理する事にした。
最近はもっぱらカナル型のイヤホン SHURE SE530 や M-Audio IE-40 を愛用しているが、ダイナミック型のA8も好きな音なのである。
解像度ではカナル型に劣るものの、耳栓の窮屈さがないので自宅でのんびり音楽を聴く時などには需要がある。
なにより、5年以上、毎日のように愛用してきたので愛着がありデザインも気に入っているので、断線くらいなら修理して使ってしまうのである。
前回はミニピンケーブル周辺が断線して修理した。
その手順は「B&O A8イヤホン修理」で書いたとおりである。
ところが、音は鳴るものの、調子は良くない。
一時期は寿命かと諦めたが今回は思い切ってケーブルすべてを交換する事にした。
A8の修理で一番困難な点はケーブルがリッツ線であるという事。
髪の毛より細い銅銭にエナメルコーティングで絶縁を施している。
このエナメルコーティングが半田を弾くため、エナメル部分を削って中の銅素線を出してやる必要がある。
ところが、1本1本の素線が髪の毛よりも細い為、カッターでガリガリ削ると素線が断線する事が多い。
目の細かい紙ヤスリで挑戦したがやはり素線がぼろぼろになってしまった。
エナメル線へ半田付けするにはどうしたらよいのかネットで調べてみると、高熱でエナメル部分を溶かすらしい。
ただ、うちの半田コテは40W程度なので、コテ先を高温にして半田を盛り、その中に素線を浸して数十秒待つ事でようやくリッツ線に半田が浸みこんだ。
あとは端面を切り銅素線を出して状態で垂直にユニット面に半田付けをする。
素材はA8に標準で付いてくる延長ケーブル。
このミニピンのメス側を切り取る。
ケーブルを左右に分ける。
ユニット側を解体して古いケーブルを取り除き、新しいケーブルを通して長さを調整して、リッツ線に予備半田処理をして綺麗に接続
Rの方のゴムサポートが破損していたので、熱収縮チューブでそれらしく作る。
また左右に分けたケーブルの根本部分を同じ熱収縮チューブで補強してこれ以上左右に分かれないようにした。
さて、視聴である。
エナメル線の半田付けがまずかったせいか、Rの出力が弱い。
左右バランスのスライダーを操作しながら、やはり出力が弱い事を確認。
再度解体して、ユニットに半田付けし直すこと3回ほど。
ようやく左右の出力が同じになった。
こうして蘇ったB&O A8。
SE530のようなナタで刻み込むような低音の切れこそないが 、B&Oらしい繊細な表現と晴れた秋空のような清々しい上昇感と伸びの良い高音が久しぶりに聴けて大変満足である。
ドライバーユニット本体の劣化はそれほど感じられないし、一番の故障原因はケーブルの断線なので、同じ方法を使えば今後もまだしばらくは使い続けられるだろうと思う。
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