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PC関係のものを購入するときに、CPUにはそれほど最高峰のものを求めない。

たいがい最高機種とは言っても半年もすれば型落ちになってしまうのでイタチごっこである。

だからコストパフォーマンスを考慮ににれてだいたい上から2番目くらいのクラスのものを狙うことがほとんどだ。

(ただし、現使用のマシンはOS9ブートの最終ノートPCなので最高機種を選択した。)

しかし、同じPC関連のものでも直接手に触れるものに関しては妥協はしない。

キーボードやマウス、マウスパッドやペンタブレットなどである。

これらは直接、手に触れてそのフィーリングから仕事の効率にダイレクトに関わる物である。

結構情緒的な部分に直接作用してしまう物なのである。

以前愛用していたApple純正の1ボタン式のマウスはフロッグデザインでプラチナグレーの角形マウスであった。

それも一番初期時代にマシンについてきた(SEやIIの時代)USA製の物を愛用していた。

同じ角形マウスでも後年になるとシンガポール製になったり、最後は台湾製であった。

質は徐々に落ちていった。

ボールは金属にゴムコーティングをした物から軽い樹脂製の黒いボールになったり、クリックスイッチも安いパーツが使われてクリック感もカッチリと決まらなかったり等々、とても同じ代物とは思えなかった。

なので、その後の卵形のマウスやiMacに付いてきた饅頭マウスなどはとても使う気にはなれなかった。

キーボードは長らくApple II Kyebordを使用していた。

これは以前勤めていたソフト開発会社で入社早々、当時「部長マシン」と言われていたMacintosh II ciの新品を購入してもらったときに希望のキーボードを聞かれて「小型のUSキーボードにして下さい」とお願いして買ってもらった物だ。

このキーボードのメカニカルなタッチがとても気に入っていて嬉しくて毎日磨いていたほどだった。

退社の時にそんなに大事にしているならと譲ってもらった経緯がある。

こういう「真面目に作っていた時代」のキーボードに慣れてしまうと、昨今の980円クラスのキーボードではとても満足できるはずもない。

文章は思いついたことをざっくばらんに入力することが多い。

そのため思い浮かんだフレーズ(頭にある段階ではまだ音声)をダイレクトに指先に伝わり、キーに入力して画面上で目に見える形にしてそれからまた推敲するというプロセスがあるため、浮かんだフレーズが自然に障害なく打ち込めることが大事である。

これが入力が引っかかったりする下手なキーボードなどだと流れるような思考がその時点で止まってしまう。

余談だが外でのメモ書きにはPalmを使用するが、ペン入力ではやはりこういう長文には不向きで、せいぜいキーワードを書き留めておく程度だ。

もし長文を書く必要が生じる場合は、むしろ手帳に万年室の方がスラスラと文章を記述することが出来る。

長らく愛用していたApple IIキーボードだが、ADBからUSBへの変更やらFキーが使えないとか、もっとコンパクトな物をとの希望から数年前に「Happy Hacking Keyboard Professional」に替えてしまった。

以前からここのコンパクトキーボードにとても関心があったのだが、値段も高く冥利が悪いので倦厭していた。

ところがUSBに対応した「Happy Hacking Keyboard Lite 2」が安価で売られていたのでついつい買ってしまった。

プロ版にはないカーソルキーまで付いているし、コンパクトさも踏襲しているし、もともと評価の高いキーボードメーカーだから廉価版でも普通以上の使い心地だろうという安易な考えからであったが、これは後に後悔することになる。

たしかにコンパクトでそこそこ入力フィーリングも良いのだが、気に入れば気に入るほど、または気になる箇所が見つかれば見つかるほどこの上のクラスの「Happy Hacking Keyboard Professional」が気になって仕方がなくなってしまった。

Pro版は店頭に置いてある場所が少なくて、実際の操作感を知らずに平和な日々をやり過ごしていたのだが、ある日、秋葉原の店頭で偶然見つけて引き寄せられるように触ってしまったのである。

触ってすぐにまるで指に吸い付くような打感にまず衝撃を受けた。

もぉ、こうなるとライト版の5倍の値段とか、たかだかキーボードに冥利が悪いなどという理性は吹っ飛んでしまった。

アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。

いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。

[東京大学 和田英一 名誉教授]

更に興味を持って調べた開発元サイトにあった以上の文章に自らを納得させてついに購入してしまった。

考えてみればPC本体についてはだいたい3年くらいの頻度で買い換えている。

その尺度で言えばキーボードにこの値段は暴挙であろう。

しかし、前のApple II キーボードも10年くらい使用していた。

それから考えれば毎日直接手にして操作感にダイレクトに影響するキーボードに多少贅沢しても良いのではないかと考える次第である。

むしろ、もっと贅をこらした物があっても良いのでは?とすら思えてくる。

キーの機構に関してはこれ以上の差別化は出せないとしたら素材自体を天然木にしたり外装を真鍮などの金属製にしたり使い込むほどに味の出る素材の物が出たらそれはそれで欲しくなってしまうだろう。

先日ソフマップの店頭でキーボードの外装(キートップ以外)が天然の竹で出来たその名も「竹千代」というキーボードを見つけた。

どうせ制作は人件費も材料費も安い中国製なのだろうが、これはこれでアイディア商品である。

肝心のキータッチ自体はあまり好ましくなかったが、こういう製品の幅が更に広がってゆくことが楽しみである。

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