IE-40用リケーブルを作ってみた。
iPhoneと接続する時に、SHURE SE530の時にはマイク付きのリモコンがあり(写真右上)、これがとても便利なので、IE40でも使用したいと前から思っていた。
ただIE-40のケーブルは1.5m。それからまたリモコンコネクターケーブルに繋げるととても長くなって取り回しが悪くなる。
ケーブルを長くすれば音質も悪くなる。
IE-40やUE10Proなどは、イヤホンユニット本体とケーブルがコネクターピンで取り外しが出来るようになっている。
これは外で扱うイヤホン故障の主な原因が、ケーブルの断線であることから、簡単に交換が出来るようにとの親切な設計による物だ。
なのでピンの規格さえ合えば、自作も可能で、多くの実行例が見られる。
サイトでそれらの説明を調べながら、素材探しから行った。
今回の制作で目指したのは以下の通りである。
- 断線しにくい事。
- 純正より、取り回しが良い事。
- 見た目を純正っぽく、ぱっと見、目立たない事。
- コネクタをしっかりと挿せる事。
- モコらない(低域と中域で音がマスキングされて曇った感じにならない)事。
もともと、IE-40は解像度が高く、カナル型のイヤホンとしては音場はかなり広い。
特に高域の伸びが良く、以前愛用していたB&O A8に近い綺麗に突き抜ける上昇感とスピード感が得られる。
逆に気に入らない点は低音が少しモコモコ膨らむ事である。
もっともこれはSE530と聴き比べて気になる程度なので、一般的には合格点なのだろう。
SE530のあのノミで石に刻み込むような、確かな実在感のある低音を聴いてしまうと、どうしても不満が出てしまう。
あと、欲を言えば全体的にSE530並みのピントのしっかりした分解能と解像度がさらに上がれば申し分がない。(だったら、SE530で聴けばよいだろうと思われるが、やはりIE-40の音の伸び上がりが魅力的なのである。)
そこで、ケーブルに使う線材をPC-OCCにした。PC-OCC は単結晶の銅素材でできたケーブルで、結晶による伝導境界線が無い分、情報量は多い。
特徴としては全体的におとなしめ、高域が暴れることなく、低域も引き締まり、音場の整理がされる。
人によっては 音が堅いと印象を持たれる人もいるが、過去の経験から私好みの方向性である。
もう少しふっくらした 鳴り方が好みの人はOFCケーブルを使う。
今回は低域をタイトにしたいのでPC-OCCにする。
それ以外に隠し球で店で薦められた、純金と純銀の合金ケーブルでの制作もしてみる。
よく知られるとおり金は伝導率が高く、そのため音の情報量が上がるという。
これはこれで楽しみである。
本体のコネクターピンにはDサブの小さい方が合うらしい。これは秋葉原で1本10円で購入できる。
+とーのセパレーターにはサイズの合うコネクタから自作する。
これからラジオペンチでピンを引き抜く
このままではDサブピンを通すには穴経が小さいので、ヤスリと画鋲で拡張する。
これでようやくDサブピンが通るようになった。
その後1ユニットずつ切り離し部品にする。
実際に本体ユニットに刺して確認してみる。
ピンにケーブルを半田付け。久しぶりに半田コテを握るので緊張して作業する。
あとはケーブルを編んでLRをまとめてミニピンにまた半田付け。コネクタ周りは熱収縮チューブを使用してある程度のボリュームと強度を確保する。
後の方の作業は暗くなってきたので撮影をしていないが、手際が悪くて少し時間が掛かってしまった。
今回の反省点は、一番細いPC-OCCを選んだが、それでも若干太くなってしまったこと。次回はリード線などもっと細いケーブルを使った方が取り回しはよいだろう。
もう一本の制作予定の純金と純銀のケーブルでちょうど良いくらいか。
さてせっかく作ったのだから聴いてみる。う〜ん、思ったより音の向上がない。確かに低域はタイトになったし高域もおとなしめで若干解像度が上がったようだが、線材に寄る違いか、ケーブルを短くした事の効果かは解らない程度。
サ行の発音が若干ささくれ立って聞こえるのはシールド不足によるノイズの混入だろうか? ヴォーカルにもうちょっと潤いが欲しい気がした。
とはいえ今回のケーブルはちょっと太めなので、これにシールド処理を施すと、使い回しが悪くなる。やはり素材からもっと細めのケーブルを使った方が良さそうだ。
標準のケーブルもそんなに悪くないのだろうか?とりあえず、今回はリモコンケーブルに接続できる取り回しのよい短いケーブルが出来て、制作のノウハウが得られた事が大きい。
今後は他の線材を使ったりシールドによるノイズ対策も考慮に入れてまた挑戦したい。
幸い必要なケーブルの長さも3m未満と短く、個々のパーツ代も安いので、手間暇さえかければ色んな作りを試すことができる。さすがに純金+純銀合金ケーブルは1m、980円と高価だが、普通の音響用内線ケーブルで選べば1mあたり100円〜200円程度。取り回しのよさを設計の基準に置いて、あまり頭を固くせずに、色々と試しに作ってみようと思う。
とりあえず金銀合金ケーブルはここまで作っている。
こちらは素線が0.3mmの単線と扱いやすい。断線の心配があるが、シールドの保護樹脂がかなり頑丈なので大丈夫だろう。
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