●THE UPSIDE OF ANGER
ある日、テリー(ジョーン・アレン)の夫(ダニー・ウェッブか?)が突然、姿を消した。大黒柱の蒸発で、女性ばかり残された家族は予期せぬ対処を迫られる。テリーには四人のお年頃の娘がいる。長女ハドリー(アリシア・ウィット)、次女エミリー(ケリー・ラッセル)、三女アンディ(エリカ・クリステンセン)、それに四女ラベンダー、愛称‘ポパイ'(エヴァン・レイチェル・ウッド)で、この娘達は結構気が強くて頑固者だ。彼女らは精神面でもばらばらになり、心の傷と非難に苦しみ、新しい生き方を手探りで求めようと必死である。そして何よりも、‘癒し'が必要なのだ。
夫はスウェーデン人の秘書とスウェーデンまで駆け落ちしたらしい。それで、妻テリーは夫がそのスウェーデン女性とベッドを共にしている悪夢を何度も見るようになり、その悔しさ悲しさから逃避するためにお酒に嵌ってしまった。すると、一家の長年の友人であるデニス・デイヴィス、愛称デニー(ケヴィン・コスナー)がテリーのお酒に付き合ってくれるようになる。デニーは以前はメジャーリーグ?の選手だったという設定である。デニーは気まぐれで、現実的で、大変愛すべき人物だそうだ。長年の家族の友達と言っても、テリーの飲み友達になってくれるというのだから、独身か寡(やもめ)かだろう。
これから、女性ばかりになった一家が、デニーの出現と存在とでいい方向に変わっていく四年間を描き出すのだ。デニーはウルフメイヤー家の言わば特別家族メンバーになる。先ず、アルコール中毒になった母テリーの相手を辛抱強くしてくれて、優しく見守り、お酒に浸かった生活から救出してくれる。そしていいムードでテリーの何かと力となってくれるのだ。キャスティングにウェディング歌手というのがあるけど、テリーとデニーの中年カップルは結婚するのかしら。それとも娘の誰かが結婚式を無事に挙げて、一家は温かい幸せ感に浸るというのかしら。四人の娘達は、それぞれが問題を抱えている。母親がデニーと仲良くなっている仕草で初めはギクシャクするが、それからはデニーを中心に、壊れた一家が再生していく。
【Cast】Joan Allen, Kevin Costner, Mike Binder, Erika Christensen, Alicia Witt
【Director】Mike Binder
【Length】1 hr. 58 min.
あまり派手ではなく、ゆったりと時間が流れてゆく、そんな映画である。
4年の年月を2時間にまとめてあり、その間に起こった様々な出来事をコメディタッチで描かれていて、とかく暗くなりがちな主題を明るくしている。
題名の通り、怒りを推進エネルギーにして様々な出来事に対応している感じである。
実は私は怒りっぽい人が正直、苦手である。
何でも捉えようによるのかもしれないが、怒りっぽい人はとかく悪い方に考えがちであるイメージがあるからだ。
ただ、物事によっては怒り自体が何かに向かってゆくためのエネルギーにもなり得ることは知っている。
この映画で描かれている種類の怒りとは前者の自滅的な物ではなくてどちらかというと建設的な怒りである。
その怒り自体も主人公の心の高揚感に必要な物で、これでふさぎ込んでいた方が自体はもっと深刻だっただろう。
険悪な雰囲気をまき散らす主人公に対してデニー役のケビンコスナーの存在が救いのようになっている。
ケビン・コスナーも往年のちゃきちゃきのヒーローからこの物語では何処か飄々とした余り格好の良くない役所で、むしろそれがいぶし銀のような演技に感じられる。
ちょうど、昔かっこよかった沢田研二がちょっとふくよかな中年になって画面に出てきたような印象だ。
主人公との、ある程度、年齢を重ねた者同士の軽妙なやりとりの中にもしみじみとして奥深い物が感じられるこの頃だ。